専門用語がまるでわからず悪戦苦闘の新人時代。

みなさんも喉が渇いたらコンビニや自販機でペットボトルを買いますよね。あのボトルについているラベルのフィルム。よく目にするものですが、こうしたフィルムがどのように製造されているか考えたことがある人はいますか。

僕が担当しているのは、そんなフィルムを製造するための機械を、ドイツなど欧米の先進国から仕入れ、国内のメーカーに販売すること。ペットボルに限らず、いろんなところでこの機械によってつくられたフィルムが使われているんです。

メーカーのようにモノありきのビジネスではなく、自分の人間力が問われる仕事がしたいと商社を選んだ僕でしたが、もともと文系出身。機械に関する専門知識はまったくなかったので、最初は本当に苦労しました。日常会話の中で出てくる単語も知らないものだらけ。「ニュートン」と言われても、はじめは何のことかさっぱりわからなかった。先輩から「そんなことも知らないのか」とよく呆れられたものです。とにかく勉強の毎日で、最初のうちは仕事に慣れるのに精一杯という感じでした。

お客様からの要望にどれだけ正確に応えられるか。

それもそのはず。なぜなら、僕たちが商談する相手は、「ものづくり」の現場に立つ工務の方がほとんどです。お客様は、誰もがよく知っているような大手メーカーが中心。当然、その知識レベルは、国内トップクラスです。そんな最先端の技術者の方々の要望に正確に応えるのが、僕たちの仕事。営業にも深い専門知識が求められるわけです。

特にはじめは怖かったのが注文対応。工場の担当者から注文を受け、それを僕たちがメーカーに発注するのですが、商品の細かいところまでわからなかった頃は、お客様が何のパーツを求めているのかも全然理解できませんでした。メーカーに発注するにも自分がちゃんと把握できていないので、正確なオーダーができない。その製造装置がどんな仕組みでできているのか。開発プロセスはどんなふうになっているのか。それが頭に入っていないと、全体を理解することはできないんですね。もしも自分に理系の下地があれば、もっとずっと吸収するスピードも速かったと思います。このあたりは理系の方にとっては他の人と差をつける大きなポイントになるはずです。

僕の役割は、架け橋となり、司令塔となること。

自分が「ものづくり」の一端に関わっているんだと実感が得られるのも、この仕事ならではの面白さのひとつ。たとえば、海外の機械メーカーの担当者が来日した際、お客様の製造工場を視察するケースがありますが、それにアテンドして自分も工場を見て回ることができます。とにかくお客様の工場はどれも大きくて、そのスケールは感動の一言。自分の紹介している機械が実際に現場でどのように使われているのか直接ふれるチャンスを得たことは、自分の仕事の意義を見つめる上でもいい経験になりました。

もちろんお客様からの感謝の言葉も、成長の材料です。設備トラブルが発生した際、僕のところへ直接お客様から問い合わせが来るのですが、それにスムーズに対応できた時は嬉しくなりますね。営業にとって、やっぱりお客様からの「ありがとう」に勝るものはないんです。

この仕事は、メーカーとお客様との架け橋であり、何かあった時には司令塔となって技術やメーカーに指示を出さなければいけません。そこには営業手腕はもちろんのこと、理系ならではの知識とセンスが重要になります。理系の方にとっては、学んできた知識を活かして、さらに自分の可能性を広げる可能性のある仕事だと思いますね。