導入事例

加西のモノづくりを支える“父子鷹”

兵庫県・加西市 日吉鉄工所

日吉鉄工所 TOP写真


日吉鉄工所 作業風景日吉鉄工所 作業風景日吉鉄工所 作業風景

 今回訪問したのは、兵庫県加西市にある『日吉鉄工所』です。工場で作業の手を止め出迎えてくれたのは、工場主の水谷和(わ)市(いち)さん(61歳)です。旋盤工として38年、溶接工として20年以上の経験を持ち、長尺・大物ワークを得意としています。現在は、5年前同社に入った次男、一成さん(31歳)と一緒にその腕をふるっています。 建設機械部品の鋳造品からの前加工(旋削加工)という段階での仕上加工から溶接まで、 「ひと月に70種ほどの部品点数と、その生産量は1個から300個ぐらいまで。建設機械は自動車と違い、本体が大きく、当社で扱うその部品の重さは10kg以上から400〜500kgのものです」 と、そしていま掛かっている製品の大きさは同社で扱うなかでは中くらいのものだと、2月に導入したばかりの最新機械、ハース社製のNC旋盤ST-30のなかに、自社開発の治具に仕掛けられたワークを指します。
  「この機械は若いもん(息子)の意見があったので入れました。大きい振りを得られる(大もの部品を掛けられる)とともに機械全体の設置スペースが小さく、当社の仕事と工場の広さに合致したこと、そして価格」 その省スペースとコストパフォーマンス、そして担当営業マンとの信頼関係もあったことがその導入の決め手だったと。
  「いまでは汎用機と新型NC旋盤の両方を使用し、仕事の段取りを工夫し、それらを効率よく使っています」 と、社長に続きこの新型機を担当する一成さんは説明します。 機械設備としては、大型汎用旋盤(12尺と 10尺)2台、正面旋盤、横中ぐり盤、また、オリジナルの斜め穴加工専用「穴あけ・タップ両用機」、そして半自動溶接機など。さらに、丸物の外周を効率よく確実に溶接できる自作の「溶接作業用ワーク回転台」ともいうべきものなど、長尺・大もの旋盤加工に特化し、その腕をふるってきた証しとなる数々の専用機も含めたこれらの設備は「鉄工所」としての威厳を誇っています。 同社は当地で創業して、今年で38年になります。最初は船のエンジン部品の仕事でした。5年くらいは仕事を出すからといわれながらも、1年もしないうちにオイル・ショックで仕事がまったくなくなってしまいました。そのとき工場は2年間閉鎖せざるを得ませんでした。その間、生活や設備・機械の返済のために、ほかに仕事を求めなんとかしのいできたんです」と。
  船のエンジン部品の加工はシリンダヘッド・カバーボルト、サイズはφ80×1300mmほどのもの。その後は、山陽新幹線の工事のときにトンネルを掘るシールド掘削機の油圧部品のシャフト、φ150×1500mm。これなどの公差は4/100ぐらいを求められていました。また、札幌のゴムタイヤを履いた地下鉄の車輪の車軸も手掛けました。大きいモノではφ300×1500mm。いままでで、最長のものは、機械の性能ギリギリのφ100×1900mm。 「当時は一人ではじめ、その後は女房や長男などの手を借り、ずっと家族でやってきました」と。
  一方、一成さんは入社後、5年ほど経ち今日を迎えています。同社へ入るときは、 「旋盤は使ったことがなく、親に教えてもらいました」と。その姿は、父親から見ても「一所懸命やっている」との評価です。 また、プログラムは前職でマシニングセンタを使っていたので、そのときの経験を生かし、いまは旋盤のコツを教られながら、プログラムを組んでいるとのことです。 新型NC旋盤と汎用工作機械は一成さん、汎用工作機械と溶接作業は父の仕事というように自然な流れのなかで分担・担当して仕事が進められています。父がいう「子の問うてくる疑問に答える」なかで改善が進んでいきます。 最近も、今やっている父の作業を見て、「こうした方が楽に、早く、正確な」仕事ができるのではないかと一成さんが提案したものでつくったものがあります。それが先に述べた廃品利用でつくった、「溶接作業用ワーク回転台」です。
  いつも工場で働くことが喜びである、と話す社長に、自慢できることを訊くと、 「よく働くことかな?」と冗談ぽく語り、そして息子の目から見る父親は、 「問題があっても、必ずそれを解決するために仕事以外の時間でも、考え続けています。つねに頭の隅に置いて、問題解決に向かっています。そんな姿勢を見習いたい」と、話す一成さん。
 趣味は? との問いに工場主の和市さんは「仕事かな…、休みの時間(とき)の過ごしかたがわからない」と、笑って答えます。


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